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(308)自転車以外の軽車両通行止め
この標識より先は、軽車両の通行ができません。ただし、自転車は通行止めの対象から除外されます。標識のイラストは荷車になっていますが、軽車両は、他にも馬車やリヤカーなど、エンジンが付いていない移動手段のことを指し、これらの車両の通行を禁止しています。
Focus
◆「自転車以外の軽車両」って何だ・・・?
「自転車が軽車両に含まれる」ということはご存じの方も多いと思います。
では、「自転車以外の軽車両」には、どのようなものがあるのでしょうか。
まずは、軽車両の意味からおさらいしていきます。
道路交通法第2条には、次のように定義されています。
十一 軽車両 次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作(車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含み、小児用の車(小児が用いる小型の車であつて、歩きながら用いるもの以外のものをいう。次号及び第三項第一号において同じ。)を除く。)
ロ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの
(道路交通法第2条より抜粋)
初めに、イについてですが、エンジン(原動機)を使わず、人間や動物の力によって動く車のことを指します。
具体的には、自転車、荷車、人力車、馬車、牛車、リヤカーなどが、これに当てはまります。
また、車輪がついているもの以外にも、馬やそりなども含まれるということがこの項に記載されています。
次にロですが、エンジン(原動機)を使う車両ではあるが、イと同じと見做すものであり、
具体的には、電動アシスト自転車がこれに当てはまります。
さて、軽車両の意味と、それが指し示す車両の種類がわかったところで、
改めてこの標識の意味を再確認してみましょう。
標識の名称は「自転車以外の軽車両通行止め」でした。
ということは、自転車は、この標識を無視することができるので・・・
この標識の意味は、
荷車、人力車、馬車、リヤカー、馬、そり・・・このような車両に対する通行止め規制ということになります。
そんなマイナーな車両しか通行止めにできない標識、果たして出番はあるのでしょうか。だんだんと雲行きが怪しくなってきました。
◆二人は一つ!「自転車通行止め」とは永遠の盟友
今回紹介している標識は「自転車以外の軽車両通行止め」ですが、
では、逆に”自転車を通行止めにする”標識は存在するのでしょうか。
答えは、YESです。
それが「特定小型原動機付自転車・自転車通行止め」です。
道路交通法の改正で、特定小型原動機付自転車も規制の対象となっていますが、
この標識は長らく「自転車通行止め」の標識として運用されていました。
そして興味深いことに、「自転車以外の軽車両通行止め」と「自転車通行止め」の標識には、この二つの標識を盟友たらしめる共通点があります。それが、「規制の対象道路」です。
交通規制基準を見ると、この2つの標識の対象道路は次のようになっています。
1 オーバーパス、アンダーパス、トンネル等で自動車の通行が多く、かつ、十分な車道幅員 がないため、自転車以外の軽車両(自転車)とその他の車両との混在通行により、交通事故が発生するおそれのある道路
2 急勾配又は屈曲等道路構造上自転車以外の軽車両(自転車)の通行が著しく危険であると認められる道路
3 高速自動車国道等と接続しているため、自転車以外の軽車両(自転車)の通行を禁止する必要がある道路
(参考:警察庁「交通規制基準」p.54-55)
片や自転車以外の軽車両通行止め、片や自転車通行止め。
一見すると対極をなしている二つの標識ですが、その存在意義は大して変わらないのです。
そして、「自転車以外の軽車両通行止め」の真骨頂ともいえるのが、「自転車通行止め」との組合せ通行止めです。
この合体こそが、「自転車以外の軽車両通行止め」の最大の存在意義といっても過言ではありません。
では、合体することによって何が起こったのでしょうか。
結論、全ての軽車両(特定小型原付を含む)を通行止めにすることができる一つの標識として生まれ変わりました。
左の写真の場所は、歩道がとられていないバイパスですが、「自転車通行止め」の標識で規制することができない、リヤカーなどのその他の軽車両を「自転車以外の軽車両通行止め」がナイスフォローすることによって、自動車との混在通行が危険な軽車両を排除することができています。
実際、ほとんどの場合「自転車以外の軽車両通行止め」は、この組合せ状態で設置されており、単体での設置はほとんどありません。しかしそれでも、「自転車以外の軽車両通行止め」が単体で設置されるケースがごく稀に存在しています。それぞれのケースは、次のように場合分けをして解釈することができます。
①軽車両の通行が危険なため、特に自転車や特定小型原動機付自転車を通行止めとしたい
・・・「特定小型原動機付自転車・自転車通行止め」
②軽車両の通行が危険であるため通行止めとしたいが、自転車のみは通行できることとしたい
・・・「自転車以外の軽車両通行止め」
③全ての軽車両を通行止めとしたい
・・・「特定小型原動機付自転車・自転車通行止め」+「自転車以外の軽車両通行止め」
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