最終更新日:2025/10/4
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(309)特定小型原動機付自転車・自転車通行止め
この標識のある道路は、自転車と電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の通行ができません。そのため、自転車の場合は降りて通行するか、自転車通行可の歩道がある場合は、歩道に入って通行する必要があります。オーバーパスの入口等に設置されている場合があり、自転車や電動キックボードの利用者は誤進入してしまわないよう、注意が必要です。
Focus
◆新たな刺客「特定小型原動機付自転車」
こちらの標識、昭和38年3月の制定当初から、長らく「自転車通行止め」の名称で運用されてきました。
また、さらに遡ると、規制標識の前身である「禁止標識」の世代からこれに類する標識が存在したことからも、「自転車通行止め」の歴史は非常に長いものであるといえます。
しかし、令和5年3月に、同年7月施行の改正道路交通法により、特定小型原動機付自転車(いわゆる「電動キックボード」)に係る法整備が成されました。
これを受け、標識令においても、特定小型原動機付自転車を道路標識の運用に組み込むため、様々な改正が必要になりました。
しかし、特定小型原動機付自転車に関する規制標識を新たに作るのでは、標識の種類がむやみに増えることになり、あまり良いとはいえません。
そこで、特定小型原動機付自転車が、通常の自転車と性質が似ていることから、多くの自転車関連の標識・標示の対象として追加されることになりました。
例えば、
改正前 | 改正後 |
自転車専用 | 特定小型原動機付自転車・自転車専用 |
普通自転車の歩道通行部分 |
特例特定小型原動機付自転車・ 普通自転車の歩道通行部分 |
のように、変更されています。また、その標識や標示が示す意味も同時に改められています。
そして、「自転車通行止め」も「特定小型原動機付自転車・自転車通行止め」と
通行止めとなる車両の対象に特定小型原動機付自転車が追加されることになりました。
よって、特定小型原動機付自転車では、この標識が設置された道路へは進入できません。
◆「普通」じゃないので注意
ここまで、特定小型原動機付自転車について言及してきましたが、
ここからは自転車について深堀りしていきます。
まずは、通行止めとなる車両を理解するためにも、自転車の定義について見ていきます。
自転車は、道路交通法に次のように定義されています。
十一の二 自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車、小児用の車及び歩行補助車等以外のもの(原動機を用いるものにあつては、人の力を補うため原動機を用いるものであつて内閣府令で定める基準に該当するものを含み、移動用小型車及び遠隔操作により通行させることができるものを除く。)をいう。
(道路交通法第2条より抜粋)
このように、道路交通法には寸法の規格などは指定されておらず、「ペダル又はハント・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車」と、意外とざっくり定義されています。
早い話、「特定小型原動機自転車・自転車通行止め」の対象となるとは、この定義に該当する車両であるということになります。
ちなみに、自転車という分類の中には、「普通自転車」というさらに細かい分類が存在します。
これは、一定の長さ、幅、構造を満たす自転車のことで、市販のママチャリやロードバイクであれば、その多くは「普通自転車」に含まれます。
逆に、幅が基準に収まらないものや、二人以上乗ることができるもの(いわゆるタンデム自転車)、他に牽引車両があるものは、普通自転車以外の自転車に該当します。
そして、少しややこしいのは、補助標識に「自転車」と表記されていた場合、それが指し示す車両は「普通自転車」であり、普通自転車以外の自転車は含まれないということです。
すなわち、「自転車通行可」という表記を丁寧に言い換えると「普通自転車通行可」になり、「自転車を除く」の場合は、「普通自転車を除く」となります。
稀に、「普通自転車」と真面目に表記された補助標識もありますが、ほとんどの場合は「自転車」と表記されることが多く、どちらにしろ、それらが指し示す車両は同じです。
ここで、「特定小型原動機自転車・自転車通行止め」に話を戻します。
先ほどの話を踏まえると、標識の名称に含まれる「自転車」は、「普通自転車」の略称であると考えることができるため、普通自転車以外の自転車は通行止めの対象とならず、問題なく通行できる!・・・と思うかもしれませんが、これは誤りです。
というのも、「自転車」を「普通自転車」として見做すのは、あくまでも補助標識の話であり、普通自転車のみを対象とする標識の場合には、名称にそれが明記されています。(例:普通自転車等及び歩行者等専用)
よって、「特定小型原動機自転車・自転車通行止め」により通行が禁止されるのは、普通自転車に当てはまらない自転車を含めた、全ての自転車であるということに、注意しなければなりません。
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