最終更新日:2025/4/23
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(306)大型乗用自動車等通行止め
この標識がある道路は、大型乗用自動車と特定中型乗用自動車の通行が禁止されます。具体的には、車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上、乗車定員11人以上のいずれかに該当する車両が対象となります。大型バスだけでなく、中型に相当する一部のバス(マイクロバス等)も、通行止めの対象となることに注意が必要です。
Focus
◆「バス単独」の規制は激レア!!
実は、「大型乗用自動車等通行止め」は、道路標識の中でも屈指のレア度を誇ります。
というのも、多くの場合、「大型乗用自動車等」は右の写真のように、「車両(組合せ)通行止め」の標識を用いて、「大型貨物自動車等」との組合せが成され、「大型等通行止め」の規制として扱われます。
すなわち、バス単独ではなく、トラックと併せて規制対象に含まれることがほとんどです。
しかし、「大型乗用自動車等通行止め」の意味を平たく言い換えれば、
”トラックは通ってもいいけど、バスだけは通っちゃダメ”ということになります。
そのような特殊な条件で規制をしたいときにこの標識を用いることになるため、必然的に希少になるのです。
◆「30人以上」から「11人以上」へ
「大型乗用自動車等通行止め」の標識は、現在の規制標識の体系へと変更された、昭和38年3月の改正当初から制定されていました。
細かく言うと、当時は、中型区分が存在していなかったため、名称は「大型乗用自動車通行止め」と、”等”が入らないものとなっていました。
しかし、当時と現在では、名称のほかに大きく異なるものがあります。
それは、規制対象となる車両です。
標識制定当初、大型車と普通車の乗車定員の境界は「30人」でした。乗車定員29人までの車両なら、普通免許で運転することができたのです。
「大型乗用自動車通行止め」ももちろん、この基準に則っていたため、乗車定員30人以上の乗用自動車は規制対象となっていました。また、補助標識等に記載する際の車両の種類の略称として、
・大型乗用自動車=大型バス
と表記することができるようになっていました。
しかし、昭和45年、道路交通法施行規則の改正により、
大型自動車とされる乗車定員が「30人以上」から「11人以上」となりました。
すなわち、大型乗用自動車の条件が変わってしまったのです。
しかし、「大型乗用自動車通行止め」においての「大型乗用自動車」の範囲は変更しませんでした。従来の条件を踏襲するため、標識の意味は「大型乗用自動車(乗車定員30人以上のものに限る)」と、やむなく書き換えられました。
また、車両の種類の略称は
・大型乗用自動車=バス
・乗車定員30人以上の大型乗用自動車=大型バス
・大型バス以外の大型乗用自動車=マイクロバス
と新しく定められました。
これにより、「大型乗用自動車通行止め」は、実質「大型バス通行止め」となり、名称と実際の運用に乖離が生じてしまったのです。
このような状況を改善すべく、平成4年、「大型乗用自動車通行止め」の対象とする「大型乗用自動車」が
本来の大型乗用自動車と同様の「乗車定員11人以上」に変更されました。
これにより、大型バスに加え、マイクロバスも規制対象に含まれることになり、対象範囲がより拡大されました。
また、マイクロバスは、現行の法令では「特定中型乗用自動車」に該当するため、
規制の対象となるのは「大型乗用自動車」と「特定中型乗用自動車」の2車種となり、これに合わせ、名称に”等”が付け加えられたのです。
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